釣り ...1




S.Nanbu  23 Nov. 2003  El Dorado Lodge




Long time ago








僕が初めて 釣りに行ったのは忘れもしない小学校1年の夏休みだった。

親父はその日のために安物の竹竿2本とバケツをどこかで仕入れてきた。
僕らはその日少し出遅れて、そろそろ暑くなりかけた遅い午前中に、当時住んでいたマンションを出た。



親父は肌着にステテコ、麦藁帽子、足にはサンダルと言ういでたちだった。
竹竿2本は親父が持ち、バケツは僕の担当だった。空いた左の手で、親父は僕の手を引いた。

夏の日差しが眩しくて銀色の光の中に僕と親父と、そして二人の影だけが僕の記憶に残っている。








A Summer Day








どこへ行ったかは具体的には覚えてないけれど、どこか小さな野池だった。

その日、僕は生まれて初めて、竿に糸を結んだ。ゴム管を通し、浮きをつけ、釣り針にエサをつけた。



釣れてきた魚は期待に反してどういうわけか小物ばかりだった。

それらがモロコやタナゴやマブナであったことは、その日 自宅に帰ってから図鑑で知った。













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